北海道日本ハムファイターズ・新庄剛志監督(写真:アフロ)

 これもビッグボス流の煙幕なのか。北海道日本ハムファイターズ・新庄剛志監督の発言が波紋を広げている。

 9月4日に敵地・楽天生命パーク宮城で行われた東北楽天ゴールデンイーグルス戦に勝利した後、来季の去就について「球団から『お願いします』と言われても、残り試合、もしかして成長できないかなと思ったら分からないかもしれない。俺っていう人間は俺も分からんから。いきなり、パッと『あとは頼んだ』ってなるかもしれないですね」などと各メディアに対して「未定」を強調した。

 いつもの軽妙なトークで冗談交じりとはいえ、今季限りで自ら身を引くこともあり得ないことではない、と自ら明かしたのである。

優勝争いの蚊帳の外、それも最初から想定内

 今季から日本ハムの指揮官に就任した新庄監督は球団側と1年契約を締結している。球団側は当初から複数年契約を提示していたが、新庄監督があえて単年に拘った。複数年契約に甘んじることなく、1年ごとの勝負と捉えて自らが務める要職に責任感を持たせるためとみられている。

 もちろんチームが過渡期の真っただ中にある現状を鑑みれば、今の戦力では就任1年目から優勝争いなどまるで現実味がないことは新庄監督自身もあらかじめ予期していたはずだ。だから昨年の就任会見時には「優勝なんか一切、目指しません」と半ば開き直ったかのような言葉を口にし、今季は「戦力の見極め」と位置付けて支配下69選手のうち64人を一軍で起用するという大胆な“テストイヤー”とした。2~3年のスパンで選手たちを成長させ、リーグ優勝、日本一をつかみ取れるチームを作り上げる。そのシナリオは新庄監督自身もここまで幾度となく公言し、繰り返している。