CJPTが2023年導入を目指して開発してきた燃料電池小型トラック(出所:日野自動車)

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

「CJPT」(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)は2022年8月24日、日野自動車(以下、日野)が起こした認証試験不正を踏まえて、CJPTから日野を除名すると発表した。

 これは、日本経済全体に対してどのような影響を及ぼすのだろうか?

日野の不正は「極めて残念」とトヨタ社長

 CJPTは2021年4月にトヨタ自動車、日野、いすゞが設立した商用車事業に関する共同出資会社である。設立の目的は、「CASE(ケース)」(注)技術の社会実装と普及を加速させると同時に、輸送業が抱える課題解決やカーボンニュートラル社会の実現に貢献することとしている。同年7月には、スズキとダイハツも参画した。

(注)「CASE」とはコネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化といった次世代自動車に関わる技術領域の総称だ。もともとは、2010年代半ばにドイツのダイムラー(メルセデス・ベンツ)が自社のマーケティング用語として提唱した。

 日野の除名措置について、トヨタの豊田章男社長は「今回日野が起こした認証試験不正は、お客様をはじめ全てのステークホルダーの信頼を大きく損なうものであり、日野の親会社としても、株主としても、極めて残念だと思います。長期間にわたりエンジン認証における不正を続けてきた日野は、550万人の仲間として認めていただけない状況にあります」というコメントを発表している。550万人とは、日本の自動車関連事業に従事する人々に対する表現だ。そのうえで、トヨタを含めた関係各社と協議して、CJPTから日野を除名することを決めたという。