リーマン・ショックが起きた2008年も古代ユダヤが債務免除を行った「シェミッター」にあたる年だった。写真は同年9月に破綻したリーマン・ブラザーズ(写真:ロイター/アフロ)

(市岡 繁男:相場研究家)

7年サイクルの危機、リーマン・ショックも

 少々古い話で恐縮ですが、2014年、米国ではユダヤ教のラビ(聖職者)が執筆した『The Mystery of the Shemitah』という本が話題を集めました。古代ユダヤでは、7年ごとに「シェミッター」という安息年を設けて債務免除を行ったのですが、それは今も同じだというのです。つまり、7年に1度のシェミッターの年に経済危機が訪れる、というわけです。

 著者のジョナサン・カーン氏は、その実例として、過去における5回の経済危機(1973年、1980年、1987年、2001年、2008年)を挙げ、いずれもシェミッターの年だったと指摘しました。

 具体的に振り返ってみましょう。記憶に新しい方から行くと、2008年はリーマン・ショックが発生しました。「サブプライムローン」という信用度の低い借り手向けの住宅ローンが焦げ付き、銀行危機につながったのです。2001年はITバブルが崩壊し、世界的規模で景気後退が起こりました。

 その7年前の1994年についてはカーン氏も指摘していないように米国では地方自治体が破産した程度で、特に大きな問題は起きませんでした。ただ、1980年以来の金利急騰で、メキシコをはじめとする中南米では金融危機が起きています。

 さらに7年前の87年は、ブラックマンデーと呼ばれる株価大暴落が発生し、同年の10月19日にたった1日の取引でダウ工業株30種平均は508ドル(22.6%)下落しました。

 それ以前は中東に端を発する出来事で市場は大荒れとなっています。1980年には、前年秋の第二次オイルショックを受け、1月には金が800ドル超に急騰、当時、やはり800ドル前後だったダウ平均を上回るという異変が起きました。1973年には中東戦争の勃発で原油価格が4倍に急騰。第一次オイルショックが発生しています。