米国では、コロナ禍で広がったリモートワークが働く人の意識を激変させた(写真:AP/アフロ)

(水野亮:米Teruko Weinbergエグゼクティブリサーチャー)

キャビンアテンダント不足で飛行機の遅延も

 「欲しい人材が見つからない」「期待していた人材が次々に辞めていく」「求められる給与に応えられない」――。新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、米国では企業からこんな苦痛の声をよく耳にする。産業や地域、企業の規模、日系・米系を問わず、各社は人材の確保に苦戦している。

 主要顧客に日系企業を抱える弊社の人材紹介部門も手を焼いている。近年、バイリンガルの日本人人材は減少傾向にある。そもそも日本人留学生が減少しているところにパンデミックが発生。日本に帰国した人が増えている。

 だが昨今の問題は単なる人材不足だけによるものではない。コロナ禍を境に企業と働き手の関心や考え方との間にギャップが広がりつつあることも大きいようだ。

 米国ではコロナ感染が拡大した2020年前半に各地でロックダウン措置の導入が相次いだ。多くの企業は一時的に工場の稼働や店舗の営業などを停止、同時に従業員の解雇やリモートワークの導入を進めた。米労働省のデータによると、ロックダウン措置が広がった2020年4月には失業者数は前月から1590万人増の2310万人にのぼり、失業率は前月から10.3%ポイント上昇して14.7%に達した。

 コロナ感染の最悪期を脱した2020年後半以降、企業が営業を再開するにつれ、従業員の確保が必要となっていった。そこに待っていたのが思わぬ人材難であった。営業を再開しようにも、一時帰休となったかつての働き手は職場に復帰せず、新規採用をかけても従業員を確保できない、さらには離職者も急増するといった事態が生じた。

 筆者自身、航空会社の営業再開以降に出張する機会が増えたが、当初は便の遅延が絶えなかった。原因の多くは搭乗するキャビンアテンダントが足りないことであった。