北朝鮮の弾道ミサイル 新型ICBM「火星17号」(写真:KCNA/UPI/アフロ)

弾道ミサイルを想定した住民避難訓練

 北朝鮮は節目の日に弾道ミサイルを発射することがある。今回は4月18日から開始された米韓合同軍事演習、そして、演習期間中の25日には朝鮮人民革命軍の創設から90年の節目を迎え、平壌で軍事パレードが行われた。そのタイミングでICBM(大陸間弾道ミサイル)級の長距離弾道ミサイルの発射が行われるとの憶測も流れていた。

 今年は特に北朝鮮によるミサイルの発射実験が多かったことから、日本政府は4月15日、自治体と共同で、住民の避難訓練を約4年ぶりに再開する方向で調整していると明らかにした。弾道ミサイルを想定した住民避難訓練は、国民保護法に基づいて国が地方公共団体と共同で行うもので、政府は2018年6月以降、実施を見合わせてきた。

 避難訓練の実施にあたり、避難先の問題や、日本に着弾するまでの短時間(10分以内)で避難ができるかなど、ネットなどでは様々な問題を指摘する声が多い。これは、日本政府が弾道ミサイルに関する具体的な情報を国民に周知していないことが原因のひとつとして挙げられる。

 しかし、実際に北朝鮮が日本を攻撃することになった場合は、ある日突然、弾道ミサイルを撃ってくるのではなく何かの前触れがある。

 例えば、北朝鮮の非核化を巡る米国との交渉が決裂するなど、過去の「核危機」と同様に米朝関係が極度に緊迫し、米国が北朝鮮への限定的な武力行使(サージカルストライク)に踏み切った時である。このような事態になれば、国民も「心の準備」はある程度できるだろう。