米首都ワシントンで開かれた労働組合のイベントに出席したバイデン大統領(資料写真、2022年4月6日、写真:AP/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 ロシアによるウクライナ侵攻が現実のものとなってしまったために、以前よりアメリカが国際社会に対して警鐘を鳴らしていた中国による台湾侵攻も、現実味が一段と高まっているとみなされ始めている。

 ウクライナ侵攻と台湾侵攻を単純に直結させてしまうのは誤りであるが、いずれもアメリカが戦争勃発に深く関わっているという構造に着目すると、両者は極めて似通っている。

米軍の“空母艦隊中心の戦略”は危険に

 台湾問題を巡ってアメリカが中国と通常兵器レベルにおいて干戈(かんか)を交える(戦争をする)際には、台湾が完全な島国であるため、海洋での戦闘が中心となる(もちろん現代戦においては、サイバー戦力による対決があらゆる伝統的武力衝突の帰趨を左右することが大前提となっている)。

 海洋での戦闘ということは米海軍が中心となるが、米軍は日本に航空基地を有しているため、米空軍も米海軍航空部隊と共に投入されることとなる。