(岡村進:人財育成コンサルタント・人財アジア代表取締役)
新年度は、新しい職場に転勤になったり、少し偉くなったり、本来なら少しワクワクする季節なのだろうが、性格的に明るくなれない私は、そんな春先が得意でなかった。さらに、あがり症なので、歓迎会のスピーチで決まって地獄に落とされる瞬間がトラウマ化している。
そんな私がいかにしてその地獄を克服していったのか。今回は春先の「自己紹介スピーチ」の作法を余すことなくお伝えしたい。
一言スピーチの作法
致命的な上がり症の私は、そもそも自己紹介自体が苦痛なのに、歓迎会などの席で幹事役の人が、私の横の人を指して「じゃああなたから時計回りで挨拶を」などと言われようものなら最悪な気分になった。「私がトリじゃないか……」と気づき、いよいよ追い詰められていくからだ。
もはや人の話など耳に入らない。「なにか気の利いたことを言おう」とは思うのだが、焦れば焦るほど頭が空回りするのだ。
ましてや元気のいい後輩がうまいジョークを飛ばして会場がどっと沸いたりすると、プレッシャーはさらに高まり、自分の番が来る前にはすでにノックダウン状態となっている。
前の人がしっかりと笑いを取ったあとに型通りの紹介をして、白けさせたこともある。上ずった声で笑いを取りにいって、その場が静まり返ったこともあった。後から上司に「無理して面白いことを言おうとしなくてよいんだよ」と慰められた忘れたい記憶は、なぜかたびたび脳裏によみがえってくる。