(勢古 浩爾:評論家、エッセイスト)
2年前に、小学3年から「自学ノート」を書き続けている梅田明日佳君という高校生(当時高校2年)のことを書いた。
驚愕のノート、地味で孤独な少年が秘めていた凄い力
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58595
詳しいことは上記記事を読んでほしいが、簡単に書いておく。
「自学ノート」とは元々、小学1年のときから出される不定期の宿題だった。自分の興味があることならなにを書いてもいい。小学3年から明日佳君は新聞記事のなかからテーマを見つけて調べるようになった。卒業までの4年間で自学ノートは21冊になっていた。明日佳君は中学校に行っても高校に行ってもつづけた。テーマを探し、調べ、書く、ということの愉しさに魅入られたのである。
それから2年経ち、かれもいまでは大学生である。かれは2021年、北九州市立大学文学部比較文学科に学校推薦型選抜で合格した(東筑紫学園高等学校 | 合格速報(2021年度入試)、https://www.hcg.ed.jp/information/9053/)。
そして、まだ自学ノートを書きつづけていて、現在37冊目だという。
かれは大学生活の目標についてこう考えている。「日本文学者のドナルド・キーンさんの人生に興味があります。アメリカ人のキーンさんがなぜ日本に帰化するまでこの国の文化や文学に夢中になっていたのか、キーンさんは日本とアメリカ、2つの故郷の違いをどのようにとらえていたのか、比較文化の視点で知りたいです」
ちなみに、かれがドナルド・キーンが日本国籍を取得したことを自学ノートに書いたのは小学3年のときである。
明日佳君の興味の幅の広さと、徹底的に調査をする探求心と根気には驚かされる。わたしが大学1年のときのぼんくらぶりに比べると、かれはすばらしい。ノートに記された一字一字は丁寧であり、かれの几帳面さがわかる。
「自学ノート」が本になった
この2年間のもうひとつのできごとは、『ぼくの「自学ノート」』という本を出版したことだ。