(夏目 幸明:経済ジャーナリスト)
オミクロン株はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)パンデミックを終わらせるかもしれない。
パンデミックの発生が科学的に証明されるようになったのは1900年以降のことだ。主だったものは3件ある。まず最も有名で、かつ被害も甚大だったスペインインフルエンザ(1918~1919年)。世界が混乱していた第1次世界大戦中に流行が始まったことも相まって、死者数は4000万人以上に達したとされる。次がアジアインフルエンザ(1957~1958年)。中国から流行が始まり、1957年4月には香港へ到達、その半年後には世界中で症例が見られるようになり約200万人が命を落としたとされる。その次が香港インフルエンザ(1968~1969年)。比較的緩やかに伝播していったが、それでも世界での超過死亡は約100万人だったという(WHOの資料ほかより)。
では、これらのインフルエンザはなぜ終焉を迎えたのか。
「感染力が高く、かつ重症度の低い株」、すなわち「多くが罹患し、しかし重症化しない株」が重症度の高い株を駆逐するパターンが多かったと言われている。たとえばスペインインフルエンザは世界中に広まったあと、毎年現れる弱いインフルエンザへと変わっていった。