ヤンキン候補の勝利を確信して喜ぶ共和党支持者(写真:ロイター/アフロ)

 11月3日の米バージニア州における州知事、副知事、司法長官の選挙は、いずれも共和党候補が勝利した。中間選挙に向けて立て直しを進めてきた共和党の選挙戦略が奏功したことに加え、連邦予算法案での民主党内の混乱など内政面での動きが遅いバイデン政権への不満が共和党の三連勝につながったのだ。

 日本のメディアは知事選に焦点を当て、トランプ氏から距離を置き、無党派層を取り込むというヤンキン候補の戦術を勝利の理由としている。ただ、より重要なことは、バージニア州で強力なトランプ支持者だった移民の黒人女性が初めて副知事となったこと、そして貧困家庭に育った男性が三期目を目指す民主党の白人候補を破り、初のラテン系司法長官となったことである。

 同時に、今回の共和党の三連勝は、民主党の反トランプという選挙戦略が終焉したことを意味する。

最も注目すべきはジャマイカ移民の副知事の誕生

 共和党の3人が揃って当選したことについて、選挙速報を見た米MSNBCの解説者(ジョイ・リード氏)は、白人を中心に動く人々の勝利は国家にとって「危険だ」と切って捨てた。

 だが、黒人でかつジャマイカからの移民(移民の子ではない)で、3人の子供を持つ母親で、ビジネスウーマンで、海軍の退役軍人であるウィンサム・シアーズ新副知事の誕生が、トランプ支持者であることだけを理由に、白人中心の世界につながるという発想を米国の誰が持つのだろうか。

 早速、SNSやインターネット・メディアでこの点が問題視され、元アーカンソー州知事のハッカビー氏(共和党)はシアーズ副知事とリード氏が公の場で議論することを提案した。

バージニア州の副知事に就任するウィンサム・シアーズ氏。ジャマイカ移民で3人の子を持つ母親。米海軍の退役軍人でもある彼女には、民主党が頼りにしたトランプ批判も通用しなかった(写真:ロイター/アフロ)