(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
米国各地で11月2日に行われた一連の地方選挙では、共和党の進出と民主党の退潮が目立った。米国民のバイデン政権への失望や反発の証ともみられている。
なかでも全米レベルの注視を集めたのはバージニア州の知事選の結果だった。民主党は近年の選挙ではバージニア州で圧勝を重ねてきた。しかし今回の知事選での共和党候補の勝利は、米国の政治の新たなうねりを示したと言える。バイデン大統領の失策や民主党左派の過激な政策に対する有権者の強い反発が変化の潮流となって現れたということだろう。
この選挙では共和党の新人グレン・ヤンキン氏が民主党の前知事テリー・マコーリフ氏を破った。だがそれ以上に、トランプ前大統領への強烈な支持を表明した共和党の黒人女性ウィンサム・シアーズ氏が副知事選挙で民主党の対抗馬に勝ったことが波紋を広げた。シアーズ氏は同州の歴史で初めての黒人女性の副知事となる。