起業、独立、複業など「自分軸」に沿った働き方を選択することで、より理想にフィットした生き方を手に入れようとした女性たちの等身大のストーリーを追う「INDEPENDENT WOMEN!」。

 第2回はブランディングディレクターの前島ゆみさん。競争の激しいビューティ業界において、ブランドをゼロから圧倒的な存在へと押し上げるプロデュース力は敏腕そのもの。そんな前島さんが自身のネイルブランドを作るべく独立、起業に踏み切ったプロセスを追う前編。

文=小嶋多恵子 写真=小嶋淑子
株式会社「JUMII TOKYO」代表取締役 前島ゆみ
ブランディングディレクター。20代で益若つばさプロデュースブランド「CandyDoll」やモデル愛用率NO.1のカラーコンタクトブランド「AC by AngelColor」のコスメブランドの立ち上げ、ディレクションを担当。出産、育休を経てミランダ・カーやジゼル・ブンチェンなど多くのセレブリティーも愛用するNY発ナチュラルコスメブランド「rms beauty」の日本上陸立ち上げに参画し、人気ブランドへと導く。会社を退職後、フリーランスのブランドディレクター、PRとして活躍。株式会社「JUMII TOKYO」を立ち上げる。小5男子の母。

数々のブランド事業に携わった20代

 上品な佇まいの中にもどこかサバサバとした雰囲気を併せ持ち、よどみのない口調に説得力を備える前島ゆみさん。20代はファッション系ベンチャー企業に勤務、数々のヒット商品の立ち上げに携わった。

「会社員時代はわりと好きなことをさせてもらえる社風でした。なので、辛くても好きの範疇にあるから、楽しかった思いのほうが強いです」

 タレントの益若つばささんプロデュースの化粧品「CandyDoll」やカラーコンタクトブランド「AC by AngelColor」が大ヒットし、成長への糧となった。好きというモチベーションと、結果というやりがいを持って前島さんの仕事への熱量は年を重ねるごとに増した。結婚、妊娠を経ても働き方は独身時代のまま。

「出張も多く、とにかく忙しい職場で、妊娠した時も多忙のあまり切迫流産になりかけるほどでした。産後は産休、育休で一年間休職。当時、その会社では産休、育休の制度はあるものの積極的に取る人はいなくて、私が初めてだったんです。男性上司に“女性社員が多い会社だし、取っていいんだよっていう会社の姿勢を見せるべきです”と言い切り、産休、育休を取得。後輩の女の子たちのためにもロールモデルにならなくてはと思いました」