新型コロナウイルス感染症を防げる特別な水などあり得ない

 前回(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66743)は「反ワクチン芸」に焦点を当てました。

 どのような間違いを信じていても、過ちに気づき次第、引くに引けないなどと思わない方がよいこと、打った方が良いと思ったら、可能な対処はワクチンであれ何であれ、どんどん打っていくべき、そうでないと周りにも迷惑が及ぶことを記しました。

 同時に、コロナで跋扈し始めた「霊感商法」的な動きにも言及したわけですが、今回はその続き、いま急速に広がっている「コロナ周辺犯罪」の手口をご紹介しましょう。

「なんとか水」では防げない

 例えば「水」です。

 もう、何十年も前から「浄水器」の類はマルチ商法や詐欺まがい商法の典型的なアイテムになっています。いまここで、架空のケースとして「波動水」なるものがあったとして、スキットを考えてみます。

 人は水なしには生きていけません。その水が悪ければ健康を害してしまう。これは間違いありません。

 しかし、ペットボトル入りの水やら、水道水を濾過する浄水器などの集団販売、強制販売などで、仮によく分かっていない参加者が「あの、この波動水浄水器を使えば、コロナも撃退できるんですかのう?」などと尋ねたとします。

「はいはいはいはい、その通り。コロナは波動で一発。買いましょう買いましょう」と押し売りすれば、これはほぼ詐欺に当たることになる。

 言うまでもありませんが、手洗いやうがいは、伝染病感染予防の1の1です。

 では、その水を「波動水」なるものにしたからといって、手の洗浄やうがいの効果が著しく上昇すると言えるのか?

 一般に、ただ濾過しただけの水道の蛇口に取り付けるタイプの浄水器で、ウイルス撃退に特化した効果が激増することなど、およそ期待できません。

 普通の水道水で十分だから、よく手を洗い、外出から帰ったら身体の清潔に心がけるのが一番。「波動水」である必要もなければ、そのために高価な浄水器を買う必要もない。