日本のウェルビーイング関連ビジネスの課題

 日本のウェルビーイング関連ビジネスは、以上の「ウェルビーイング経営」「ウェルビーイングな街づくり」という2つの事象が大きな流れと言うことができるでしょう。これらを踏まえて、今後のウェルビーイング関連ビジネスの課題を見ていきましょう。

【1】個人にお金を払ってもらえるか?

 1つめの課題が、ビジネスモデルをどう作るのかということです。言い換えると、どうやって「個人」にお金を払ってもらうのかということです。

 以上で挙げた2つの領域はいずれも、そこで働いたり暮らしたりする人々のウェルビーイングを願う取り組みであることは疑う余地がありません。ただし、ウェルビーイングの実現に向けて投資しているのは“個人”ではなく“事業者”です。個人が自分の財布のひもを能動的に開いていない、主体的に自分のウェルビーイングをコントロールしているわけではない、という事実が大きな課題として挙げられます。

 個人が自らのウェルビーイングに対してお金を払う(投資する)行動を形成できるか否かがが、今後の日本型ウェルビーイングの構造を決める、大きな分水嶺となると考えられます。

 企業としては、いかに消費者にウェルビーイングへの投資のモチベーションを高めてもらうか、いかにプロダクトやサービスをデザインしていくかが、事業を拡張していく際の大きなブレイクスルーポイントになってくることでしょう。

【2】投資モチベーションを高めてもらえる領域は?

 2つめの課題は、では、どのような領域のウェルビーイングならば個人に投資モチベーションを高めてもらうことができるのか? ということです。

 現段階では、有望なウェルビーイング領域として以下の方向性があると考えられます。