横綱・白鵬(2020年1月7日の明治神宮土俵入り、写真:ロイター/アフロ)

 名古屋場所後の白鵬は、「肉体的にも精神的にも追い込まれた状態だったが、綱取りの気持ちとか、初心の気持ちで臨めたのが結果につながった」「進退という漢字の意味はあまり理解できなかったが、(その後)進むのか止まるのかという意味を理解して、また進めるわけだから、良かった」などと語った。

 復活優勝した白鵬に満腔の祝意を伝えたい。

 今場所はモンゴル勢の大活躍で幕を閉じた。白鵬と照ノ富士は言うに及ばず、モンゴル出身の幕内にいた全員(逸ノ城、豊昇龍、玉鷲、霧馬山、千代翔馬)が勝ち越し、来場所の番付上位にはモンゴル出身者がずらりと並び、あたかもモンゴル人の大相撲の観を呈するであろう。

 中でも今場所の注目は6場所連続休場(うち5場所は全休)で「注意」も受けていた白鵬と、一時は序二段まで落ちて廃業寸前まで追い込まれながら2連勝して綱取りが掛かっていた照ノ富士の戦いぶりであった。

 期待に応えるように2人は千秋楽で全勝対決となり、白鵬の全勝で幕を閉じた。白鵬は優勝回数を45と伸ばし、うち15回の全勝優勝である。横綱の優勝としては最年長であり、あと1勝で900勝となる。

白鵬の闘魂と決意に乾杯!

 どんな決意で白鵬が今場所に臨んだかを知りたくて、全国紙をはじめ、普段はほとんど読まない「スポーツ報知」や「スポーツニッポン」にも目を通した。

 スポーツ報知は妻のインタビューを伝えている。

「今までで一番ドキドキ、ハラハラの15日間でした。上の3人の子供たちも周りから(進退場所と)言われて、重要な場所で、パパは頑張らないといけないんだと思っていた」

「地方場所なので毎日電話はしていました。ただ、お互いに弱音は口にしませんでした。・・・常に前向きな話をするようにしました。上の子供たちも自分の携帯を使って、寝る前などメールを送っていました」

 白鵬自身の言葉からも決意のほどがうかがえたし、家族も一緒になって支えたことが分かる。