原油価格が高くなればロシア経済にプラスだが、過ぎたるは猶及ばざるが如しでもある

プロローグ/油価暴落はロシア経済潰し?

 油価が上昇しています。理由は以下の2つあります。

①2020年は新型コロナウイルス感染症の広がりで石油需要が急減したため油価急落したが、石油需要が回復している。

②2020年4月12日に合意したOPEC+原油協調減産会議の減産合意内容が順守されており、石油供給量が管理されている。

 油価が暴落すると、マスコミに必ず登場するのが「陰謀論」です。

「石油依存度の高いロシアを潰すべく、米国とサウジアラビアが共謀して油価を下落させた」とか「米国のシェールオイル潰しを狙い、ロシアとサウジアラビアが共謀して油価暴落を仕組んだ」などの陰謀説がまことしやかに流れます。

 一見すると分かりやすい論調ですが、これは本当でしょうか?

 結論を先に書きます。この種の陰謀論は単なる結果論にすぎません。本稿では、現在上昇中の油価は今後どうなるのか、筆者の個人的油価予測とその影響を考察したいと思います。

油価動静

 最初に、2020年1月から2021年7月初旬までの2油種(北海ブレントと露ウラル原油)の油価の動きを概観します。

 北海ブレントは世界の代表的な石油価格指標であり、露ウラル原油はロシアの代表的な輸出油種です。

 2020年3月と4月の2回、油価は暴落しました。

 その後5月1日から油価は上昇傾向に入り、2021年6月末までほぼ一本調子で上昇してきましたが、7月初旬に踊り場相場になりました。