菅義偉首相が重要政策に掲げた「地銀再編」が、コロナ禍の中でも着実に進んでいる。今年1月、福井銀行(本店・福井市)が福邦銀行(同)の子会社化を発表し、5月1日には三重銀行(四日市市)と第三銀行(松阪市)が合併して三十三銀行が発足した。

 その後も、青森銀行(青森市)とみちのく銀行(同)が合併も選択肢に見据えた経営統合の検討を、SBIホールディングス(東京都港区)が筑波銀行(土浦市)との業務提携を発表している。

 ただ、地銀再編を自らの重要政策とした菅首相自身はコロナ禍の対応に追われ、こちらには手が回らない状況のようだ。多忙な菅総理に代わり、現在“地銀再編劇場”で主導権を握っているのはあの党内随一の実力者という。

地銀再編のキーマンが講師となる小委員会

 その実力者の“影”がほんの少し顔を覗かせたのが、自民党のとある小委員会だった。

 自民党において金融政策を議論する金融調査会の歴代会長は、金融政策に精通する大物議員が務めている。現在は、当選8回を数える元大蔵官僚、岸田派所属の山本幸三・元地方創生相が会長を務めている。

 昨年、その金融調査会の下に地域金融機関の経営強化策を検討する「地域金融に関する小委員会」(以下=小委員会)が設置された。