旅の妙味は、人との出会いや風景の変化、季節の温度、人間の鼓動などを味わうことにある。それこそが旅の目的と言ってもいいかもしれない。

 しかしながら、いかに移動するかということは旅の最重要テーマである。長期旅行の場合、少しでも長く旅をするには、日々のコストを下げる必要がある。「移動手段、食事、宿」の3つの値段をどれだけ抑えるかが、1日でも長く旅を続けられるかのポイントになる。

 私は長旅をしている時、大陸間の移動以外は夜行バスか鉄道を利用してきたが、世界各地のバスターミナル周辺は、犯罪率が高いと相場が決まっている。

 おまけに夜行バスに乗るには、日没後のさらに治安が悪化する時間帯にターミナルに赴かなければならない。

ベネズエラのバスターミナルの出発を待つ乗客専用待合室。青い鉄格子がスリや置き引き、強盗を防いでくれる(筆者撮影、以下同)

 置き引き、スリ、両替詐欺、美人局なら、警戒すればある程度、被害は防ぐことができる。しかし、ベネズエラのカラカス、グアテマラのグアテマラシティ、エクアドルのキト、ニカラグアのマナグア、南アフリカのヨハネスブルクなどでは、人通りの少ない深夜や早朝だけでなく、昼夜を問わず首絞め強盗、ノックアウト強盗などが横行している。

 強盗に遭わないためには、男性の場合はできるだけみすぼらしい服を着たり、グループで行動すれば目をつけられにくい。しかし、女性の場合は、金やモノ以外の目的で狙われるケースもある。

 これらの国では一人旅を避けるか、行かない方が無難である。もし、襲われた時に助けを求めても、強盗がグループだったり武器を携行していれば、周囲の人間は目を背けるか傍観してしまうこともある。

中南米のバスは時間に正確

 メキシコやブラジル、アルゼンチン、チリなど中南米の主要都市には巨大バスターミナルがあり、国内便のみならず国際バスの発着便が24時間営業で運行している。