韓国でも人気が沸騰している鬼滅の刃(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

(金 愛:フリージャーナリスト)

 新型コロナウイルス感染症の影響で、韓国の映画館がかつてない不振に苦しむ中、「劇場版鬼滅の刃:無限列車編」が観客数100万人を突破する大ヒットを続けている。 世界最大規模の動画ストリーミング(OTT)プラットフォーム「ネットフリックス」でも、先月のシリーズ公開以来、ボックスオフィス(興行収入)の上位圏にランクインして韓国の人気を独占。SNSには「鬼滅の刃」の賛辞が殺到し、関連グッズの販売も大幅に上昇している。

「NO JAPAN」を旗頭にした反日不買運動で史上最悪となった韓国の反日基調は一瞬にしてくじけたようだ。だが、「選択的不買運動」と嘲弄される「鬼滅の刃」旋風が吹き荒れる中、韓国の反日勢力が主人公である竈門炭治郎の耳飾りが「旭日旗」の形に似ていると提起して論議をさらに増幅させ、劇場版とネットフリックス版で炭治郎の耳飾りが修正された。それに対する報道が日本で相次いだことに対して、韓国放送局JTBCは「反省のない日本」と糾弾、反日基調を増幅させている。

「鬼滅の刃」を攻撃する韓国の反日勢力

 韓国における「鬼滅の刃」の累積観客数は3月11日時点で110万4888人(映画振興委員会統合電算網基準)と、ボックスオフィスで2位を記録した。3月6日に累積観客数105万2366人を記録し、封切り6週間で100万人を突破すると、さらに約5万人の観客を動員した。今年に入って韓国映画界で観客100万人を動員した映画は、米ディズニーのアニメーション「ソウルフル・ワールド」と「鬼滅の刃」しかない。

「鬼滅の刃」は「ソウルフル・ワールド」よりさらに好調で、先月21日に公開されたネットフリックス版でも上位にランクインしている。 韓国のSNSには「鬼滅の刃」グッズを買うという書き込みが続き、新型コロナウイルスの感染拡大が終了したら日本に「鬼滅の刃」観光に行くという投稿もある。

 こうしたブームに韓国メディアは「鬼滅の刃が反日不買運動の勢いをくじいた」と、異例ともいえる趨勢を伝えた。一方、日本の「旭日旗」を戦犯旗と称して世界で唯一使用反対を主張してきた韓国の反日団体の攻撃が始まっている。そのターゲットは「炭治郎の耳飾り」だ。