仕事は「人と人とのつながり」

 コロナ禍による「テレワークの一般化」や「出張の制限」などで、社内外の人と交流する機会は明らかに少なくなってきた。「ランチでも一緒にいかが?」というような、気軽な意見交換の場はもとより、夜の会食もなくなり、貴重なコミュニケーションの時間が失われた。また、何となく家や職場から出るのが億劫になり、誰とも会わない日々が続いている……。そんな人も多いだろう。

 社内外の人と会わなくなるということは、自分の人的ネットワークが狭くなることに他ならない。それでは、ビジネスの上で決して良い効果はもたらされない。仕事とは、結局は「人と人のつながり」で成り立っているのだ。

 コロナ禍で仕事が減ったり、事業の継続性が脅かされたりしたとき、親身になって相談に乗ってくれる友人がいたら……と思ったこともあるはず。「A friend in need is a friend indeed.(困った時の友こそ真の友)」ということわざのとおり、困ったときに手を差し伸べてくれる人が周りにいるかどうかが、働き手の仕事上の安心感を担保しているわけだ。そのような意味で、コロナ禍によって人付き合いが減ることを、よしとしてはいけない。今後、Afterコロナを迎えたときは、「社内外の人とのつながり」が再認識されるだろう。

私たちに問われているもの

 2020年は目に見えぬ未知のウイルスに翻弄された年だった。穿った見方をすれば、自然界からの人類へのしっぺ返しだった、といえなくもないだろう。コロナ禍の今は、私たちに仕事や人間関係のあり方を再考させてくれるいい機会だと思いたい。「ニューノーマル」という言葉が盛んに叫ばれているが、仕事の本質は何ら変わらない。結局は、「人間」が「人間」とともに行うことなのだ。コロナ禍対策としてさまざまなツールやシステムが導入されているが、テクノロジーはそれをアシストするものに過ぎない。

 未知のウイルスと共存しつつ、どう人間関係を保っていくのか。もしくは、どう開拓していくのか。この根源的な問いについて、コロナ禍が考える機会を与えているのかもしれない。

大曲義典
株式会社WiseBrainsConsultant&アソシエイツ
社会保険労務士・CFP

著者プロフィール

HRプロ編集部

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