「変動金利債券」「個人向け国債」の特徴とメリット

 「変動金利型債券の利率って、どうやって決まるの?」「個人向け国債って、リスクはないの?」「国債を満期前に売ることはできるの?」債券に関するギモンを、ファイナンシャル・プランナーの恩田さんに解説していただきます。

債券には変動金利型と固定金利型がある

 前回に引き続き、債券の特徴やメリット、リスクについて見ていきます。債券とは、国や企業などが資金を集める目的で、投資家からお金を借りるために発行する有価証券のことです。

 債券は定期的に利子を支払うものと、利子の支払いがないものに分けられます。このうち、定期的に利子が支払われる「利付債(りつきさい)」には、発行から満期まで利率が一定の「固定金利型債券」と、半年ごとにその時点の基準金利に合わせて利率が変動する「変動金利型債券」があります

 変動金利型債券の代表例には、「個人向け国債変動10年」があります。今回は変動金利型債券と、個人向け国債の特徴について見ていきます。

変動金利型債券は購入時に満期までの収益を計算できない

 前回取り上げた固定金利型債券では、利率が満期まで固定されていることに加え、額面金額が発行時点で決まっています。そのため、その債券を発行した国や企業が倒産しない限り、購入した時点で満期までの収益を計算することができます

 一方、変動金利型債券の場合は、半年ごとにその時点の金利水準により利率の見直しを行います。利率が変動すれば、受け取れる利子も変化します。

 変動金利型債券の額面金額は、固定金利型債券と同様に発行前に決まっており、満期時に変動することはありません。しかし、満期までに受け取る利子が変動する可能性があるため、購入時に満期までの収益を計算することはできません。

 今後、世の中の金利が上昇していくならば、同時期に発行された固定金利の債券よりも変動金利の債券の方が、利子の増額により高い収益が期待できます。逆に今後、金利が下降していくと、同時期に発行された固定金利の債券よりも利子の減額により低い収益に甘んじなければなりません。

 将来の金利変動により、収益が変化するのが変動金利型債券の特徴です。今後の金利変動を予想するのはプロの投資家でも難しいため、安定運用を求めて債券投資を行う場合は、固定金利型債券をおすすめします。