「学び」が生活の一部になっている「自己啓発できる人材」

 日々の生活に「学ぶ習慣」を取り入れることは、職業人にとって不可欠である。社会人こそ「学び」が必要なのである。「学べば学ぶほど、無知を実感する」といわれる。つまり、「学ぶ習慣」が身に付いている人材ほど、自身が無知であることを認識しているものである。そのため、自己啓発の必要性にも気付きやすい。反対に「学ぶ習慣」がなければ自身の無知にも気付きにくく、自己啓発を行なおうという発想も持ちづらいものである。

 また、「学ぶ習慣」が生活の一部になっている人材は、時間をやり繰りして「学び」のための時間を捻出する術を心得ている。そのため、自己啓発のための時間を設けるのも造作ないだろう。ところが、「学ぶ習慣」を持たない人材が自己啓発に取り組むためには、現在行なっている「何か」をやめて、学ぶ時間に充てなければならない。これがなかなかできないのである。

「学ぶ習慣」は社会人1年目で身に付けるもの

 社会人が「学ぶ習慣」を身に付けるのに最適な時期は、職業人としての人生の中で一度しかないといわれる。それは「社会人1年目」の年である。学生生活を終えて社会人になる年は、生活スタイルがそれまでとは大きく変化する。その結果、「社会人としての生活習慣」の基礎が形成されるのが「社会人1年目」の特徴である。この時期、日々の生活の中に「学ぶ習慣」を組み込むことができれば、その習慣は生涯継続することが可能となる。

 反対に、社会人1年目で「学ぶ習慣」が身に付かなかった場合には、その後に身に付けるのは容易ではない。例えば、入社して10年経過したところで「仕事に必要だから勉強をしよう」などと考えたとする。しかしながら、社会に出て「学ぶ習慣」を持つことなく10年間を過ごした人材が開始する勉強は、多くの場合「三日坊主」で終わってしまう。「家に帰ってから1時間だけ勉強をしよう」などと計画を立てたとしても、飲酒をする、テレビを見るなど、入社以来10年間続けてきた夜の習慣をどうしても断ち切ることができないからだ。

 社会人1年目に「学ぶ習慣」を身に付ければ、生涯の宝となる。反対に身に付けられなければ、その後に学ぶ重要性に気付いたとしても、頭と体がついていかず、非常に苦労することになるだろう。かくいう筆者も、社会人1年目で「学ぶ習慣」を身に付けられず、日々苦労を重ねている一人である。ぜひとも皆さんには、1日も早く日々の生活の中に「学ぶ習慣」を取り入れてもらいたい。

大須賀信敬
コンサルティングハウス プライオ 代表
組織人事コンサルタント・中小企業診断士・特定社会保険労務士
https://www.ch-plyo.net

著者プロフィール

HRプロ編集部

採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。