仮想通貨の種類に加えて「通貨ペア」にも注目

 取引所によって、取り扱う仮想通貨の種類は異なります。最も多く流通しているビットコインはどの取引所でも扱っていますが、それ以外の仮想通貨の取り扱いはまちまちです。イーサリアム、XRP、ビットコインキャッシュ、ライトコインは多くの取引所で扱われていますが、それ以外の仮想通貨を取引したい場合は、取引可能な取引所はかなり絞られそうです。

 仮想通貨の取引に慣れた方なら、「仮想通貨で仮想通貨を買う」、たとえば「ビットコインでXRPを買う」といった取引ができるかどうかも、取引所を選ぶ基準になりえます。FXで言うところの「通貨ペア」にも注目してみましょう。

 取引画面の機能や使いやすさは、取引所によって差が出るところかもしれません。操作がわかりやすいか、価格のチャートなどの情報が見やすいか……。今では多くの方がスマホのアプリを通じて取引すると思われるので、アプリの使い勝手がどうなのか、可能なら事前にデモ機能を使ってみるなどして調べておくといいでしょう。

スマホでの操作性仮想通貨の売買をするときにはスマホでの操作性や、欲しい情報にストレスなくアクセスできるかどうかは重要

「金融に強い取引所」なら非常時でも安心

 仮想通貨はよく「フィンテック」の一例として語られます。フィンテック(FinTech)とは、金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を合わせた造語です。仮想通貨の話になると、どうしてもブロックチェーン技術やハッシュがどうのこうのといったテクノロジーにばかり目が行きがちですが、仮想通貨も金融商品のひとつなので、「金融」という側面から取引所を見ることも重要です。

 2008年に、アメリカの大手金融機関リーマン・ブラザーズが破たんして、金融市場が大混乱したことがありました。世に言うリーマン・ショックです。世界中の投資家がいっせいに株式や通貨などを売りに走ったために、為替取引を仲介する金融機関が適切な為替レートを提示できず、金融市場の混乱がさらに進むという悪循環に陥りました。そうした状況でも、為替レートを提示して為替取引を成立させ、金融市場の正常化に道筋をつけた金融機関もありました。

 今後またリーマン・ショックのようなことが起きたときに、ビットコインなどの仮想通貨の取引が一時的に止まってしまったらたいへんです。投資家はビットコインを売りたいときに売れず、想定以上の損失が発生してしまうかもしれません。取引所には、非常時でも取引を止めず、交換レートを提示し続ける力が求められます。その力はテクノロジー以上に、金融市場で培ってきた知識や経験がものを言います。取引所を運営する人が、金融業界で豊富な経験と実績を持つ人であれば、いざという場面でも安心できそうです。

 ビットコインなどの仮想通貨は高騰を続けていますが、もし新型コロナウイルスのワクチンが普及して世界経済が正常化に向かえば、今までビットコインに向かっていたお金が日本円や米ドルなどの法定通貨に戻る動きが強まり、短期的に価格が大きく動くこともないとは限りません。不測の事態が起きても安心して取引できることが、もしかしたら取引コストより大切な要素になるかもしれません。

大西さんのひとこと
 私は1992年の欧州通貨危機、2008年のリーマン・ショック、そして2015年のスイスフラン・ショックなど、為替ディーラーとして良くも悪くも貴重な経験をしました。法定通貨の世界は、これらの危機を乗り越えながら健全な市場環境が作られてきましたが、仮想通貨(暗号資産)の市場はまだまだ発展途上です。
 FXcoinは「暗号資産(仮想通貨)市場の健全な発展と拡大」「日本人の金融リテラシーの向上」を企業理念としています。私のこれまでの経験を生かして、仮想通貨市場全体が皆さまに信頼されるように、これからも力を尽くしていきたいと考えています。