積極防衛は、「相手から武力攻撃を受けたときに初めて必要な防衛力を行使して反撃する」という防衛政策です。

 つまり、「日本は先制攻撃をしない。しかし相手から攻撃されたならば、自衛のために必要な防衛力で反撃する」という常識的な防衛政策が「積極防衛」です。

 専守防衛の定義で使われている「防衛力の行使を自衛のための必要最小限にとどめ」とか「保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限る」などという過度に抑制的な表現を使いません。

 単純に「自衛のために必要な防衛力で反撃する」という表現が妥当なのです。

 参考までに、日本の最大の脅威になっている解放軍の伝統的な戦略が「積極防御」です。

 積極防御については、「積極防御戦略が中国共産党の軍事戦略の基本であり、戦略上は防御、自衛および後発制人(攻撃された後に反撃する)を堅持する」と定義されています。

 つまり、私が主張する「積極防衛」と意味は同じです。積極防御を主張する中国に対応するためには、日本も「積極防衛」を主張するのは妥当です。

中国の脅威を直視した安全保障議論不可欠

 我が国周辺には我が国にとって脅威となる中国、北朝鮮、ロシアが存在します。これらの国々は力の信奉者です。

 とくに中国は「中華民族の偉大なる復興」をスローガンに、急速に軍事力の増強を図り、2049年には米国を追い抜き世界一の大国になる野望を公言しています。

 また、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大を契機として、中国への批判を許さない非常に強圧的な戦狼外交を展開しています。

 日中関係においても、口では日中平和友好を唱えながら、尖閣諸島をめぐって日本領海への不法な侵入を繰り返しています。

 中国の考える日中友好は、あくまでも「日本が中国に従うこと」であって、対等の立場での関係ではありません。

 このことは、中国のサイレント・インベージョンに対し立ち上がった豪州に対する容赦ない制裁、屈服させようとする中国の姿勢を見ても明らかです。