新庄剛志氏。2002年10月、サンフランシスコ・ジャイアンツ在籍時代の一枚(写真:ロイター/アフロ)

 話題は「新庄劇場」で持ち切りとなった。プロ野球の12球団合同トライアウトが7日に一般非公開で行われ、注目の新庄剛志氏も参加した。実戦形式で行われたシート打撃では“左前適時打”を放つなど2006年シーズンを最後に引退した48歳とは思えない軽快な動きを見せ、本気度をアピール。当日のネット上で「新庄剛志」がトレンド上位にランクインし、非公開となっていたにもかかわらず会場周辺には熱心な新庄ファンも集まった。

 間違いなく新庄氏は主役となり、現在の実力、本気ぶり、人気度から見ても決して“色物”選手などではないことを証明してみせた。

新庄の本気のアピールにも現状では獲得名乗り出る球団なし

 報道陣に対して新庄氏は「6日間でオファーがこなかったら野球は終わる。きっぱり言います。6日間でこなかったら1年間おつかれさまでした、新庄剛志と」と口にした。オファーの期限を自ら設定し、朗報が届かなかった場合には現役復帰をきっぱり諦めるという。

 しかし、球界の反応は芳しくない。ここまでラブコールは全く届いておらず、僅かながらに興味を示そうとする球団も皆無である。14年のブランクがありながら機敏なプレーを披露したことには驚嘆の声が方々から上がっていたものの、いざ本気で獲得に動くかどうかは別問題。それが多くの球団の共通認識のようだ。

 常識的に考えれば、いくら1年間追い込むようにハードトレーニングを積んだからと言っても、14年間ものブランクを48歳の元選手が現役レベルにまでコンディションを戻すことはまず不可能だ。ましてや、トライアウトで“左前適時打”を放つなど結果を残したとはいえ、支配下登録されたバリバリの投手を相手に同じような打撃ができるかはどうしても疑問符がつく。現役時代は天才的だった守備力も、トライアウトの場において僅かながら見せたグラブさばきだけで判断するのは判断材料として余りに乏しい。

 当日のトライアウトを見たセ・リーグ球団の編成担当者は「確かに新庄さんというキャラクターのスター性は大きな魅力だが」と言いながらも「やはり年齢とブランクはネックになる。そのバランスを考えると、貴重な支配下登録の1枠を使ってまで獲得するには値しない」とドライな答えだった。