企業側に厳しい司法判断が多い「固定残業代制」

「固定残業代制」は、制度の理解不足に起因する運用誤りが発生しやすいという特徴があるが、中には「人件費を削減する」、「求人への応募を増やす」などを目的に、故意に誤った運用を行っている企業もあるようである。

 しかしながら、最近では、固定残業代制にともなう残業代の支払い不足について、従業員から訴訟が提起されることも少なくない。さらに司法の場では、特に平成23年以降、固定残業代制に関して企業側への厳しい判断が続いている。

 企業側が法廷でどんなに詭弁を弄しても、「不適切な運用による固定残業代制が認められることはない」というのが現状である。行政の場でも、労働基準監督署が固定残業代制にともなう「未払い残業代」の存在を発見し、行政指導の対象とするケースが少なくない。

 固定残業代制を採用している企業の皆さんは、いま一度、運用面に誤りがないかをよく確認していただきたい。

大須賀信敬
コンサルティングハウス プライオ 代表
組織人事コンサルタント・中小企業診断士・特定社会保険労務士
https://www.ch-plyo.net