「現状では浪人することがいい投資になっている」「奨学金や学費無償化は“社会のコスパ”の視点で仕組みを考えるべき」──教育経済学の第一人者・赤林英夫氏(慶應義塾大学経済学部教授)の主張の真意とは? 短期集連載「コスパで測るコロナ下の学校教育と大学受験」の第2回。

ガラパゴスな日本の大学入試

 教育をコスパ(費用対効果)で考える──今回は大学入試と高等教育無償化について考えてみたいと思います。

 大学入試のあり方は、高校生はもちろん小中学生にも影響があります。特に高校生には知っておいてほしいのですが、日本の受験はどの国とも違う「ガラパゴス入試」です。受験競争の厳しい国は韓国や中国など他にもたくさんありますが、日本は特に違います。

 日本では、国立大学や県立高校入試などのように、事実上公立校は1つ(大学の場合、後期日程等を含めても2校)しか受けられない統一試験があり、それ以外の私立は日程さえクリアすればいくつでも受けられます。そのため大学入試では、国公立については志願先を絞り込んで受験しなければなりません。また、私立大学は、学費では国公立に勝てないため、独自の教育を提供し、大学の個性や文化を強調することが戦略になります。しかし現実には、偏差値等による序列化が進んでいます。

 このような「ガラパゴス入試」の下、浪人生が多いのも日本の特徴です。中国や韓国にも浪人は存在しますが、日本ほどではないようです。なぜ、日本では何年も浪人する人がいるのでしょうか。受験生から見たコスパで考えてみましょう。

・大学間の評判や、そこに入ることでの生涯所得の差が大きい(東大、医学部など)。