11月3日に行われるアメリカ大統領選で、再選を目指すドナルド・トランプ大統領の劣勢を伝える報道が多くなってきた。リアル・クリア・ポリティクスが発表している支持率は、10月16日時点で、ジョン・バイデン前副大統領が51.2%で、トランプ大統領が42.3%。すでに10ポイント近い差がついている。
こうした状況をヤキモキしながら見守っている独裁者がいる。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長である。金委員長は、トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染した際には、真っ先にお見舞い電報を送ったほどの「トランプファン」なのである。
大統領のツイッターを毎日チェック
2017年1月にトランプ大統領が就任して以降、「平壌奥の院」で、ある変化が起こった。それまでは不定期に、側近たちが金委員長に国際情勢の報告を行っていた。それがトランプ大統領が就任して以降は毎日、トランプ大統領が発するツイッターをすべて朝鮮語に訳して報告するようになったというのだ。
それによって、金委員長はトランプ大統領の「生の声」を知ることができるようになった。同時に部下たちも、報告の内容を忖度したり、報告の内容によって叱責されたり失脚することがなくなった。
2018年6月12日にシンガポールで歴史的な米朝首脳会談を行った時、金委員長はトランプ大統領に、「あなたとは初めて会ったという気がしない」と述べて、ツイッターを愛読している話をしたという。金委員長こそは、トランプ大統領のツイッターの最も熱心な読者の一人であり、それによって米朝に信頼関係が生まれたとも言えるのである。