コロナ対策によるカネ余り、資金は日本株へ
──年末に向けての相場見通しも教えてください。
エミンさん この秋は政治的なリスクで荒れる可能性があるものの、日本株は引き続き強いと見ています。これまでは米国株が下がると日本株も下がるということが続いていましたが、最近はそうした傾向が見られなくなってきました。その理由は2つあります。
1つは、日本の新しい個人投資家層が育ってきていること。いわゆる老後資金2000万円問題をきっかけに投資への関心が高まり、コロナショックによる下落をチャンスと見て株式市場にエントリーする人が非常に増えています。相場を大きく動かすほどの力はまだありませんが、日本人主体で日本株を買うようになれば、米国株との連動性はさらに弱まっていくでしょう。
もう1つは、米国株に割高感が出ていること。テック企業を中心に相当買われており、割安でクオリティの高い銘柄があまり残っていません。その象徴と言えるのが、ウォーレン・バフェットによる日本の総合商社への投資です。これは実はけっこう重要なことで、バフェットは海外投資をあまりしません。それなのにあえて日本の総合商社5社に投資したことは、米国に割安な優良株が残っていないという判断の表れでしょう。また、次の選択肢として日本株に目を付けたことにも注目すべきです。欧州でも中国でもなく日本を選んだのは、日本株のクオリティが高いからにほかなりません。財務基盤がしっかりしているのに割安に放置された企業が多いことに、外国人投資家も気づき始めているのです。
日本人投資家の成長と、外国人投資家による日本株の見直し。この2つの傾向が加速すれば、米国株が下がっているのに日本株は底堅いといったことが当たり前になってくるでしょう。
──国内外の投資家がこれからますます日本株を盛り上げていくということですね。
エミンさん さらに付け加えると、世界のコロナ対策が10兆ドルを超える規模に膨らむ中で、実はお金の行き場がなくなってきています。以前であれば中国に資金が集まったかもしれませんが、今の中国はあまりにリスクが大きく、欧州も冴えません。頼みの米国株は割高です。
こう考えると、やはり日本株への投資は必然ではないでしょうか。この秋は政治的なリスクでやや荒れるかもしれませんが、日経平均株価は年内に2万6000円を目指すと見ています。