チーム「ストイカ」(阿部重夫+α)

東京大学の赤門(撮影:川嶋諭)

 キジも鳴かずば撃たれまいに――東大総長選がだんだん泥沼の様相を帯びてきた。

 7通以上の匿名文書(怪文書)が乱れ飛び、森友問題の近畿財務局並みに証拠隠滅の鬼ごっこになっている。

 NHKが報じた9月7日選考会議の議事録録音を事務局が消去したというスクープ以来、ほとんど疑心暗鬼の伏魔殿状態である。

 記録の消去とはなんと浅はかな。

 10月2日にプレジデントオンラインに載せたチーム「ストイカ」の記事「いったい誰が土下座するのか」(https://president.jp/articles/-/39214)で、「やりとりが明るみに出れば、『半沢直樹』のように誰かが土下座する羽目になるかもしれない」と警告したら、すっかりビビったのだろう。

 ところが、選考会議の録音はとっくに週刊誌等に流出している。今さら頭隠して尻隠さずでは、火に油を注ぐことになる。

 案の定、炎上した。

「現代ビジネス」(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76223)や「文春オンライン」(https://bunshun.jp/articles/-/40793)といったネットメディアで、元総長で選考会議議長の小宮山宏氏が、学内の代議員会(予備選)投票1位の宮園浩平副学長(元医学系研究科長)を外そうと、自ら出所不明の怪文書を隠し球に繰り出して、みごと2次候補リストから落とすのに成功した詳細が暴露されてしまった。

 それをつくづく眺めると、ご立派としか言いようのない「小宮山劇場」である。

 御年75歳でも脅しすかしも織り交ぜて、獅子奮迅のご活躍、誰しもこのヒール役には感動を禁じ得ない。