「パワハラにならない叱り方」とは?

「パワハラにならない叱り方」については、以下を参考にして頂きたい。

(1)まずは具体的な事例を学ぼう
 厚生労働省が設置しているハラスメント対策総合情報サイト「あかるい職場応援団」には、さまざまな資料が掲載されている。その中の「動画で学ぶハラスメント」(※1)内に、「パワハラにならない叱り方」の「アウト!レベル」、「セーフレベル」、「上級レベル」が紹介されている。

 また、「パワハラととらえられる/とらえられない指導」について、次のとおり記載がある(※2)。まずは、具体的な事例を確認してみよう。

【パワーハラスメントととらえられる指導】
1.身体的暴力
2.大声で罵倒する、机を叩くなどの威嚇的な行為
3.大勢の前で注意する(内容による)
4.長時間立たせるなど身体的苦痛を与える
5.不適切な言葉、表現
ア)身体的に危険を感じさせるような発言
イ)雇用を脅かすような発言
ウ)人格を傷つけるような発言


【パワーハラスメントにならない指導のポイント】
1.問題となる具体的な行動や内容に焦点を絞る
2.感情的にならない
3.人格や性格を否定しない
4.どのように改善すべきかを伝える
5.部下にどのように伝わったか確認する

※1 厚生労働省:あかるい職場応援団
※2/出典 厚生労働省:あかるい職場応援団「パワハラにならない叱り方 - セーフレベル」

(2)「かりてきたねこ」を心掛けよう
 何度も注意をしたというのに部下の行動が改善されないといったとき、誰しも感情的になってしまうことはあるだろう。このようなときは「かりてきたねこ」を心掛けて叱る習慣をつけよう。「かりてきたねこ」とは、以下の通りである。

か:感情的にならない
り:理由を話す
て:手短に
き:キャラクター(性格や人格)に触れない
た:他人と比較しない
ね:根にもたない
こ:個別に叱る

 また、怒りの衝動のピークは6~10秒といわれている。イラッとしたときは心の中で6秒数えて感情的にならないように心掛けよう。

(3)自身の言動を「身近な人」に置き換えて考えてみよう
 自分の大切な子どもやパートナーが同じことをされたら不快にならないか。取引先に対しても同じような言動ができるか。冷静になって考えてみることが大事である。自分が叱っている相手にも、その人のことを大事に思っていたり、尊敬していたりする人々がいる。優秀な上司たる者、叱る相手をも尊重する姿勢を持ちたいものである。

 今回は「パワハラにならない叱り方」をご案内したが、普段からコミュニケーションをとり、良好な関係を築いておくことが重要である。働きやすい職場をつくるためにもこの記事を参考にして頂きたい。

松田法子
社会保険労務士法人SOPHIA 代表
https://sr-sophia.com/

著者プロフィール

HRプロ編集部

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