メリットは「業務の効率化」や「コスト削減」

「HRテクノロジー」を導入することによるメリットは大きく分けて3つある。

(1)人事労務業務を効率化できる
 負荷がかかる従業員の入退社手続き、給与計算、勤怠管理といった定型業務を自動化することで、大幅に業務量を減らすことができる。また、業務の幅が広く、工数もかかる採用業務の工程を一元化することで、人事担当者の負担が軽減する。

(2)コストを削減できる
 従業員の労働時間を短縮することで、人件費を抑えることができる。また、紙で管理していた従業員の情報、採用関連の書類などの電子化は、印刷代や送料のコスト削減につながる。

(3)人事関連データの「一元管理」と「見える化」ができる
 これまで紙や別フォルダで管理していたスキルや異動歴、強み、健康診断の結果などを一元管理することができる。また、一元化することで、各従業員がパフォーマンスを発揮しやすい人材の配置につなげられる。データをもとに、従業員一人ひとりや組織の現状を把握することができ、効率的なマネジメントや人材育成も実現できる。アンケートの回答結果と紐づけることで、退職リスクの軽減にもなる。

導入を妨げる「サービスの多さ」や「人材不足」

「HRテクノロジー」を導入するうえで、日本では大きく分けて3つの課題がある。

(1)日本特有の文化
 新しい技術に難色を示す企業は日本でまだ多い。「これまで通り」のやり方を好む文化があり、テクノロジーの導入を妨げる要因になっている。本音と建前を使い分ける日本人の特徴もあり、正確なデータを扱うことに抵抗する従業員は少なくない。

(2)サービスの多さ
 HRテクノロジーの種類が7つあるだけでなく、採用の領域を見ても多くのサービスが展開されている。それゆえ、自社に合ったサービスをなかなか見つけにくい課題がある。

(3)人材不足
 せっかくテクノロジーを導入しても、ツールを使いこなせる人材が社内にいなければ、ビジョンは絵に描いた餅となってしまう。また、会社全体で使わないと、データ活用は機能しないため、近年は数字やデータに抵抗がない理系人材を積極的に採用する企業が増えている。

「HRテクノロジー」には採用やタレントマネジメントなど多くの種類があり、様々な企業から多種多様なサービスが展開されている。数が多い分、目的に合ったソリューションの選定がポイントになる。導入する際は、例えば「人材育成」という大枠ではなく、「マネジメント層」なのか「プロフェッショナル人材」なのかなど、自社の人事課題をまず明確にしてからサービスを検討してみるのがいいだろう。

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HRプロ編集部

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