池田肇さん

 『人生100年パートナー』を標榜する野村證券がマネーフォワードと共同で開発した資産管理アプリ、それが『OneStock(ワンストック)』です。人生100年時代を豊かに、そして健康に過ごすためには「健康寿命」と同時に「資産寿命」が大切です。その資産寿命を手軽に測定できるのがこの『OneStock』なのです。私も実際にアプリをダウンロードし、測定してみると、ちょっと不安な結果に……。そこで本アプリの開発責任者である野村證券の池田肇さんにお話をお伺いしてきました。(取材日:2020年7月20日)

資産寿命のシミュレーションは「健康診断」

 ──資産管理アプリ『OneStock』、さっそくダウンロードしてみました。私の資産寿命は85歳と算出されたのですが、日本人男性の平均寿命は81.41歳なので、老後資金の心配は現時点ではないと考えてよろしいですか?

池田肇さん野村證券 常務
未来共創カンパニー担当兼 ブランド戦略共管
池田 肇

 池田 う~ん、それはどうでしょうか(笑)。「老後の生活水準」という設問に対する回答として、「倹約」「標準」「ゆとり」と3つの選択肢があったと思いますが、どれを選びましたか?

 ──「標準」です。ちなみに「ゆとり」にしたら73歳、「倹約」にしたら90歳を超えました。

 池田 なるほど。ゆとりある老後生活を送るとなると、現状のままでは、ちょっと厳しいかもしれませんね。

 ──ですよね。73歳と表示されたときは、思わず目を背けました……。

 池田 収入と貯蓄額、あとは何歳まで働くかによってシミュレーションの結果は大きく変わってくるので、いろいろなパターンを試してみて、どうすれば資産寿命が延びるか検討してください。

 例えば年収が高いのに貯蓄額が少ない場合は、日常的に支出が多い可能性があります。収入の途絶えた高齢期になっても生活費の負担が重くなり、結果的に資産寿命を縮めることになります。

 ──現役時代の生活水準のままで老後生活を送ろうとすると、ある程度貯蓄があっても資産は短命かもしれませんね。ちなみにMonJa編集部の30代の男性(既婚・子ども一人)のシミュレーション結果は、老後生活を「ゆとり」にしても資産寿命は86歳、20代の女性(既婚・子なし)に至っては「ゆとり」で100歳近かったです。

 池田 それはいいですね(笑)。とはいえ、それで老後資金は安泰かというと、必ずしもそうではありません。資産寿命のシミュレーションはいわば健康診断や人間ドックみたいなものと思ってください。

 20代の健康な方が健康診断を受ければ、特に問題ないことが多いですよね。でもこの先もずっと20代の健康な状態のままでいられるわけではありません。ライフスタイルもそれと同じで、家族が増えたり、住宅を購入したり、転職をしたり……さまざまな変化が起こります。

 収入や支出もその変化に応じて変わってくるでしょう。ですから、健康診断と同じように年に1度ぐらいは資産寿命の入力内容をチェックして、変化があれば内容を更新し、大まかでいいので資産寿命を常に把握しておくといいと思います。