手軽に使ってもらえることを意識した設計

 ──OneStockの開発で特にこだわった点はどこでしょうか?

 池田 やはり「資産寿命」のところです。健康的で豊かな生活を過ごすために資産は大事です。それは誰もが納得すると思います。しかしいざライフプランをシミュレーションしてみるとなるとどうでしょう。将来起こり得ることを、時期や必要額も含めて考えるのは意外と難しいものです。

 実際にライフプランをシミュレーションするサービスは、たくさんありますが、入力する項目が細かすぎると途中で挫折する人も多いでしょう。

 ──確かに(笑)。入り口からあまり考え込んでしまうような、答えにくい質問だとイヤになっちゃいます。

 池田 OneStockでは、必要最低限の22項目さえ入れれば、あとは当社の年金研究所が培ったノウハウや統計データを使用しながら資産寿命を算出します。まずは一度算出してもらい、その後ライフプランに変化が起きたときや、何もなくても年に1回ぐらい、多少条件を変えながら見ていただけるような、そんな手軽に使っていただけるアプリを目指しました。

池田肇さん

将来的には改善点まで指摘できるように

 ──確かに手軽ですし、資産寿命を考えるきっかけとしてはとても使い勝手がいいです。でも、そもそもなぜ資産を「見える化」すべきなのですか。

 池田 やはり健康管理と同じで、資産の管理も自分自身の状況を把握することが第一歩です。もちろん「知りたくない」という人もいるでしょう。でも人生100年時代といわれるいま、高齢になっても健康で豊かな生活を維持するには、資産を長持ちさせることが極めて重要です。そのためにも現状の自分の資産状況やキャッシュフローを把握していくことは、具体的な対策のうちの半分ぐらいを占めるといっても過言ではありません。

OneStockの資産画面のイメージOneStockの資産画面のイメージ
OneStockの資産寿命画面のイメージOneStockの資産寿命画面のイメージ
OneStockの診断サービス画面OneStockの診断サービス画面

 現状のOneStockでは、資産を一元管理し、月ごとや年ごとの資産全体の推移やパフォーマンスをレポートするだけですが、将来的には、その人のキャッシュフローやポートフォリオのどこに改善点があるかまでをレポートできる機能を持たせたいと思います。

 そこから先、実際に資産運用の相談が必要になった場合は、取り引きのある金融機関に相談することもあると思いますが、問題点や改善点の指摘まではOneStockで完結できるようにしたいです。

 保有資産をある程度把握していたとしても、人生100年時代に向けて、いくらぐらいのお金をどの程度のリスクで運用すべきかについて理解している人は、恐らく少ないでしょう。そこで資産寿命という考え方を指針にして、それを延ばすためにはどのような運用をすればいいのか、自分の中である程度理解できれば、相談もしやすいと思います。それを可能にするツールがOneStockなのです。