宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回は、一棟アパート投資で利益を最大化させるための重要なポイントのひとつ、「確定申告」について考えます。
給与と家賃の口座を同じにすると……
【質問】
夢だった福岡のアパートオーナー! 土地から購入するつもりで、複数の建物を観に行ったらデザイナーズアパート。すぐに欲しくなって、勢いで契約してしまった。こんなに思い切って大丈夫ですかねぇ?
アパートオーナーが新築アパートを購入してからの行動は、今まで話してきたように、年数に応じて少しずつ変化していきます。普段はサラリーマンなどとして働く兼業大家さんにとって、アパート経営のひとつの集大成となるのが「確定申告」という作業です。
この確定申告の内容と評価が各金融機関からの指標となり、結果として金融機関との信頼関係ができていくことになります。
この確定申告という作業。サラリーマンであれば「年末調整」、すなわち自身の生命保険や確定拠出年金などを1年間に支払った証明書を年度末に会社担当者に提出して、所得税などの過不足金の調整を行うのみで終了しますが、不動産投資という「経営」の世界に足を踏み入れたならば、もう一歩前進して、より細かい申告書を作成していきます。確定申告をしっかり行うことで、「サラリーマンとして一定の収入を得ながら、不動産投資によって多少のリスクを取って別枠の収入を目指す」という、兼業大家さんならではの醍醐味を目指すわけです。
家賃未払いのリスクは本業収入によって軽減できるわけですから、ここは、当たり前のことですが、申告は正確に正直に行いましょう。
まずは「白色申告」から始まります。投資する物件を増やしていけば「青色申告」へ移行することができ、メリットを受けられる状況は格段にアップします。詳しい仕組みは後ほど話すこととしますが、まずは申告に失敗しないために、基本的な「資金の管理」と「帳簿」について説明をしていきます。
実は私も過去に一度失敗したことですが、「家賃収入によるお金の流れを明確にしておく」というのが絶対条件です。特に注意すべきは、雇用収入(給与、賞与など)は不動産家賃収入と一緒(混合)にしないこと。ここはぜひ押さえていただきたい。できれば、家賃が入る通帳が物件ごとに分かれており、関連する費用の管理もその通帳で行うようにすると、物件の費用対効果の分析もわかりやすいものになります。
物件が一つであればいいのですが、複数になると、管理も難しくなります。家賃収入の口座を給与振込通帳と一緒の口座にしておくと、たとえば月末に「家賃が入っている。今月は自宅の固定資産税もあり、家計のピンチだったので少し回せた。助かった」ということをしてしまいます。厳しいことを言いますが、これはどんぶり勘定です。
人は弱いものです。給与とは別のお金が入ってくると、「やった! お金持ちに!」と勘違いして使っちゃいます。ここはぐっと我慢して、「不動産としての資産」と「給与」は別ものとして考えてください。
家賃収入を家計に回すことを繰り返すうちに、「気がついたら税金が払えなかった。延滞したら、雇用給与自体を差し押さえられた。こんなはずではなかったのに?」なんてこともありますので、注意してくださいね。これこそが悪夢の始まりですから……。