(山田敏弘:国際ジャーナリスト)
先日、「週刊ポスト」(2020年9月4日号)でこんな記事が掲載された。
「自衛隊の装備品リストに米国が排除した『中国製カメラ』」
記事では、米国防権限法(NDAA)でファーウェイなどと並んで禁止された中国の監視カメラ大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)の製品を自衛隊が調達しようとしていると指摘している。自衛隊の装備品リストにあったのは、新型コロナウイルス感染対策のために利用予定のサーモグラフィーカメラ(熱源カメラ)だという。
米国が安全保障の理由で排除を進めているメーカーの製品を日本の自衛隊が使えば、もちろん米国からは問題視される。特に最近、河野太郎・防衛大臣は、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが参加している機密情報共有の枠組みである「ファイブ・アイズ」にも参加したいと色気を見せているだけに、今回指摘された自衛隊の感覚は「マイナス」になる可能性をはらんでいる。自衛隊のみならず、政府系機関なども注視していく必要がある。
そこで、防衛大臣が興味を示しているファイブ・アイズについて改めて考察してみたい。そこに参加すれば日本にはどんなメリットあるのか。そして現実的に加わることは可能なのだろうか。
ファイブ・アイズ参加への高いハードル
最近、日本の「ファイブ・アイズ参加」の可能性が注目されるきっかけとなったのは、7月21日に行われた、河野大臣と英国のトム・トゥゲンハート英下院外交委員長との電話会談だ。そこでファイブ・アイズの話が出たという。日英の報道に温度差はあれど、トゥゲンハート委員長がツイッターで、<英国のCPTPP(TPP11)参加と、ファイブ・
もちろん日本がファイブ・アイズに加わり、これらの国と同じように情報を共有できるようになるのは素晴らしいことで、歓迎すべきことである。尖閣問題などで日本と揉めている中国にとっては脅威となるはずで、北朝鮮もロシアもプレッシャーを感じるだろう。韓国が嫉妬するのも間違いない。
だがそれには超えなければならない高いハードルがある。