パレスチナ、イランおよび国連の反応

 トランプ政権が打ち出した「繁栄への平和プラン」に対して、パレスチナは早速大反対を宣言した。イスラエルとUAEの国交樹立など夢にも想像していなかった半年前、パレスチナはばかげた絵空事だと切って捨てた。EUも反対とは言わずとも懐疑的だった。

 また、国連も、このプラン自体を「非国連の文書」としてウェブサイトに載せたものの、中東問題のキープレーヤーが反対しているとして、このプランを拒否する団体の名前を掲載している。これへの協力そのものを暗に否定したのだ。なお、この批判的な文章には、アラブ諸国の集まりの名前も含まれていた。

 国連にしてみれば、国連抜きの対応への不満もあるのだろう。しかし、トランプ大統領が言い切っており、他の多くの加盟国も感じているように、国連はもはや中立な組織ではない。事実、この提案の中身をどう考えるか、もしだめなら何がだめなのかを指摘して、国際平和を推進するための努力をするのが国連であり、それをするリーダーシップがなければ何のためにあるのか、ということになる。

 一方、イランはプラン自体をほとんど無視した。その背景には、コッズ部隊が無力化させられたこともあって、発表当時としては絵空事にしか見えないものに興味を抱かなかったというのが真実だろう。

パレスチナ自治区のガザ地区。イスラエルの封鎖により燃料や食料、日用品など必要な物資が慢性的に不足している(写真:AP/アフロ)
パレスチナ自治区のガザ地区。穀物を収穫している人々(写真:ロイター/アフロ)