社会情勢の変化により、「オンライン面接」が広がっています。オンライン面接は場所を選ばずに実施できる一方で、相手の表情やしぐさが読み取りづらく、どうしても情報量が少なくなるというデメリットがあります。前回は優秀な人材の採用方法を取り上げましたが、今回は昨今の社会情勢を踏まえたうえで、面接での質問方法についてご紹介します。
どの人材もよく見えてしまう「オンライン面接」の罠
採用面接は、人事業務の中でも直接人と対峙する仕事の一つです。人事は人材を調達する部署であるため、面接は会社の業績に影響を及ぼす特に重要な仕事です。これまでの面接は、対面で行われ、人事は主に一次面接として志望者の基本的な考え方や実績の確認を行ってきました。
しかし、最近では社会情勢の変化によりオンライン面接が普及しています。オンライン面接では、相手の表情やしぐさ、礼儀などが見えづらく、話し方や考え方を中心に採用可否を判断する必要があります。
私自身もオンライン面接で何度か面接官をやらせていただきました。率直な感想としては、「案外、面接できるものだな」と感じました。ただし、面接での素行が確認できない点が難点です。私の場合は、いつも面接会場に志望者が入る段階から礼儀作法をチェックしていますが、オンライン面接では、いきなり志望者と面接を始めることになります。しかも全員、整った表情や姿勢からスタートします。髪型や服装が乱れている方はほとんどいません。
実はオンライン面接は、人事よりも志望者にとってメリットが大きいものです。会場に向かう手間がなく、自分のタイミングで面接を受けることができます。また、多少緊張するものの、自宅の普段慣れ親しんだ環境からリラックスした状態で臨むこともできるのです。
こうした条件で面接が行われるため、パッと見は、どの方もよく見えてしまうのがオンライン面接の難点です。
優秀な人材を見抜くポイント
とはいえ、志望者の服装などの見た目や素行は、採用では参考程度の情報です。最も重要なのは、その志望者が自社の業績に貢献してくれるか、やりがいを持って働き、周囲に良い影響を与えられる人物か、といった内面的な部分です。優秀な人材とそうではない人材では、明らかに内面的な部分が異なります。
あくまでも私自身の主観ですが、優秀な人材の特徴をご紹介します。
(1)経験を振り返ることができる
優秀な人材の定義は企業ごとに異なりますが、基本的に能力やスキルが同じ人材なら、これまでの実績を入社後に再現できる力があるかどうかで判断します。再現力を確認するためには、経験を振り返る力があるかをチェックすることが一般的でしょう。経験の成功要因を分析してよどみなく話すことができる人材は、成功を自分自身の勝ちパターンとして知識化しているため、入社後も活躍する可能性が高い人材だと考えられます。
(2)自分の価値観を言葉にできる
自分自身を理解している人材はそう多くはいません。人にはそれぞれ価値観がありますが、それを言葉にできる人材は、ぶれることなく仕事に取り組むことができます。
(3)「志」がある
「志」はビジョンとも置き換えられます。人生や仕事で成し遂げたいことを明確に考えている人材は、物怖じせず積極的に仕事に取り組むことができるでしょう。
(4)ロジカルである
論理的であることは現代のビジネスの基本です。創造性の高い方も、会社の中でアイディアを具体的かつ論理的に説明できるスキルが必要になります。ロジカルであることは、問題解決力が高いとも言えます。