8月11日、ビジャレアルFCへの入団会見をする久保建英(写真:なかしまだいすけ/アフロ)
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 鮮やかな黄色の練習着をまとった久保建英がビジャレアルのチームメイトとトレーニングに励んでいる。

 チーム合流からわずか数日、真夏の陽光を浴びて調整する久保の姿にはやくもファンの胸は高なっている。

 日本人選手という枠を取り払って客観的に見ても、久保は今季のビジャレアルで最も注目されている選手だ。今夏チームにやってきたのは彼だけではなく、隣町バレンシアからはスペイン代表のダニ・パレホやフランシス・コクランも加入した。どちらもチームの主力となるであろう選手たちだ。

 しかし報道量もファンの期待値も、久保に関しては桁違いという印象を受ける。事実、久保の加入からビジャレアル関連のSNSのフォロワー数は急激に増え続けている。

 当然ながら、久保がレアル・マドリード所属という事実も関係している。今月上旬、米フォーブス誌はレアルを世界で最も資産価値の高いサッカークラブであると発表した。その人気は世界規模だ。しかし久保への期待の源泉は昨季終盤戦で見せたパフォーマンスにある。持ち前の技術で相手を次々とかわしていく彼の姿は、スペイン人の頭に鮮やかに残っている。

 移籍が決まる前も、久保は連日紙面をにぎわせていた。レアル・ソシエダ、セビージャ、ベティス、オサスナにグラナダ。国外ではバイエルン・ミュンヒェンにPSG、アーセナル移籍の噂もあった。ベイルやハメスら、世界トップクラスの選手の隣に「TAKE KUBO」の文字が並ぶ日々。日本人選手の行き先がこれほど移籍市場を騒がせたのは久しぶりのことだ。

 久保のレンタル契約は1年間。セビージャをはじめ、多くのクラブが買い取りオプション付きのオファーを提示したが、レアルは断じて首を縦に振らなかった。将来の宝は手放さない。久保のさらなる成長にかけるレアルの本気を感じた。

合致するスタイル。より前で勝負できるか

 ビジャレアルという決断は選択肢の中で最もスマートなものだったと思う。

 まずはビジャレアルというチームのスタイルがある。チームはボール保持を基本とし、久保のようなテクニカルなアタッカーと相性がいい。小柄で技術に秀でた選手が輝いてきた伝統もある。久保も持ち味も出しやすいだろう。