本来あるべき株式市場は、良い企業にお金が集まって株価が上がり、そうでない企業にはお金が集まらずに株価が下がる株式市場です。
業績が上がらない企業の株式にも何もせずにお金が集まってしまうと、その企業は本来必要な企業努力を怠ってしまいます。厳しい言い方をするなら、劣っている企業を甘やかすことになります。
このような風潮が続けば、企業は競争力を失い、産業全体の成長が止まってしまい、社会全体にとって大きな損失が生じかねません。
たとえばTOPIX(東証株価指数)を対象とするインデックスファンドを買うことは、東証1部に上場している2000社以上の企業の株式をまとめ買いするのと同じですが、残念ながらこの2000社がすべて「良い企業」ではありません。業績の悪化が深刻な企業もあれば、従業員や取引先を人間扱いしないブラック企業、反社会的組織とのつながりなど倫理的な問題を抱える企業もあります。
こうした企業もすべて「抱き合わせ」になってしまうのが、インデックスファンドの不利なところです。インデックスファンドに投資する人も、「できることなら悪い企業の株式は買いたくない」と考えていることでしょう。
個々の企業を調査し、選別するアクティブファンド
アクティブファンドの社会的な意義は、良い企業を投資によって買い支え、悪い企業の株式は売る、もしくは最初から買わないという「人為的な判断」を行うことです。世界の株式市場において、良い企業の株価が上がり、そうでない企業の株価が下がるのは、アクティブファンドによる投資が大きく影響しています。
業績の悪い企業やブラック企業、反社会的企業が選別されず、すぐれた企業の株式が正しく選別されるようになれば、産業全体の健全さが保たれ、社会は良くなるはずです。投資対象をきちんと選別するアクティブファンドに投資することは一種の社会貢献でもある、と言っても言いすぎではないと思います。
もちろん、「人為的な判断」が間違ってしまうこともあります。アクティブファンドを運用する投資信託のファンドマネージャーが「良い企業」と判断して株式を買っても、その企業の業績が悪化し、株価が下がってしまうこともあります。そうした失敗の積み重ねで、運用成績がインデックスファンドに負けてしまうアクティブファンドも少なくありません。
一方で、インデックスファンドより良い成績を出し続けているアクティブファンドもあります。個々の企業をつぶさに調査し、分析することで、業績や将来性をきちんと評価している投資信託です。
多くのアクティブファンドは、ホームページで公開している運用報告書で、ファンドが現在保有している主な個別銘柄を公表しています。投資している企業の名前を見るだけでも、ファンドの方針を推し量ることができます。「今あえてこの企業に投資するなんて」という驚きが、今後長く付き合っていくアクティブファンドとの運命的な出会いになるかもしれません。
次回は、実際にアクティブファンドが投資する企業をどのように選んでいるのか、実例をもとに詳しく見ていきたいと思います。