元始、投資信託はアクティブであった……。市場平均への連動を目指すインデックスファンドが全盛の今、あえてアクティブファンドに注目する短期集中連載。第3回は、アクティブファンドが投資する企業を選別することの社会的意義について考察します。
アクティブファンドの手数料は確かに高いけれど
投資先の企業を選別して、株価指数を上回る収益を目指すアクティブファンドと、株価指数への連動を目指して企業を選別しないインデックスファンド。
アクティブファンドは、インデックスファンドより手数料が高い。
アクティブファンドは、企業の選別に失敗してしまい、インデックスファンドより収益が劣ることもある。
これは覆しようのない事実です。
「手数料の分だけ利益が少なくなるうえ、株価指数に負けるかもしれないアクティブファンドはいらない。資産運用はインデックスファンドだけでいい」
このような考えもありうると思います。
しかし、世の中の投資信託がすべてインデックスファンドになってしまったら、それはそれでちょっと困ったことになります。
アクティブファンドは、投資家の利益を追求すること以外にも、社会にとって重要な役割を担っているのではないか。筆者にはそう思えてなりません。
アクティブファンドの社会的意義は、「すぐれた企業を選別して、投資する」という行為そのものにあると考えます。
インデックスファンドは良くない企業も「抱き合わせ」
世の中の投資信託がすべてインデックスファンドになるという、極端な状況を考えてみましょう。株式の個別銘柄を選別するのは一部の個人投資家だけという世界です。
個人投資家も、年金基金や生命保険のようなプロの投資家も、投資信託を通じて株式市場に投資しますが、それがすべて、個別銘柄を選択しないインデックスファンドだったとしたら?
上場している企業の株式をみんなが等しく買うことになるので、個別銘柄の株価の値動きが、株価指数の値動きとほとんど同じになります。つまり、投資信託がインデックスファンドしかない世界では、良い企業の株式も、そうでない企業の株式も、同じように値上がりし、同じように値下がりしやすくなります。
このような株式市場が、果たして健全と言えるでしょうか?
健全ではないですよね。