やさしい株式投資のハナシ

 資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。

投資家に対する企業の姿勢を知るバロメーター

 今回のお話は企業のホームページの活用についてです。

 投資している(したい)企業のホームページを見たことはあるでしょうか? 実は投資家にとって企業のホームページは情報の宝庫なのですが、意外と見たことがない人が多いと思います。

 企業もIR(投資家向け)活動に力を入れているので、分かりやすく作られていることがほとんどです。逆に分かりにくいホームページの企業は顧客や株主に対する姿勢が見え隠れしますので、投資家に対する企業の姿勢を知るバロメーターにもなります。

富士フイルムホールディングスのホームページを見てみよう

 例として富士フイルムホールディングスのホームページをご案内しましょう。

企業概要、企業の沿革

 企業情報のページには、企業の歴史やビジョン、所在地やグループ会社の構成など、いわば会社のプロフィールがまとめられています。まず参照したいのは、企業理念やビジョンです。その企業がどういう理念をもってビジネスを行っているのか、意外と投資家でも知らない方も多いポイントです。

 ちなみに富士フイルムホールディングスの企業理念は「わたしたちは、先進・独自の技術をもって、最高品質の商品やサービスを提供する事により、社会の文化・科学・技術・産業の発展、健康増進、環境保持に貢献し、人々の生活の質のさらなる向上に寄与します。」となっています。

 この先進・独自の技術とは、富士フイルムホールディングスの場合は、写真フイルムの技術や映像の技術のことになるでしょう。富士フイルムという社名が示すとおり、かつては写真フイルムで世界シェアトップクラスの企業でしたが、ご存知の通りスマホやデジカメの台頭により現在の写真フイルムの売上はほとんどありません。その代わり、写真や映像の技術を応用した医療用機器やオフィスプリンターなどを手掛けています。