不動産経営

 宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回も「一棟アパート投資」がテーマ。空室の増加や修繕費の発生などにより悪化したキャッシュフローを改善させるポイントを、小田さんの実体験に基づいてお伝えします。

最低でも「純利回り10%」

【質問】
 夢だった福岡のアパートオーナー! 土地から購入するつもりで、複数の建物を観に行ったらデザイナーズアパート。すぐに欲しくなって、勢いで契約してしまった。こんなに思い切って大丈夫ですかねぇ?

 前回は一棟アパート投資の注意点について、下図の「事業収支計画の要約」と照らし合わせながら解説してきました。
 最初から新築物件ありきで購入した私にとって、一棟アパート投資が何とか事業として成り立っているのは、「満室」という条件を運良く満たすことができたからに他なりません。

 いきなり新築物件を購入するのは、私は危険だと思います。少なくとも、最初の一棟アパート経営は中古物件から探して、利回り重視で、キャッシュフロー(現金収支)を必ずプラスにもっていくこと。そして表面利回り(年間の家賃収入を物件購入価格で割った数値)から諸経費を差し引いて、「純利回り」で考える。
 自身のように、自己資金を多くすれば、図のようにキャッシュフローはマイナスにはなりません。当然プラスです。しかし、これは一般のアパート経営者にとって、あるべき姿ではありません。
 最低でも「純利回り10%」は頭にとどめておいてください。10%を下回ると、キャッシュフローがマイナスとなる危険性があります。

 ちなみに私の場合、表面利回りは8.3%で入居者は計画募集でしたから、頭金がなかったらと思うと、ゾッとします。
 ただ、注意していただきたいのは、中古アパートを購入する前提で不動産会社に相談していても、不動産会社の担当者は、会社にとって利益率がいい新築に誘導する傾向にある点です。アパート経営の事業者を目指すならば、大切なのは「見栄えの資産(建物)価値より、土地の評価に重点を置く」。何事もあせりは禁物、あわてると蟻地獄。肝に銘じることです。