積立投資と個人年金保険のオールレンジ投資の目的
積立投資は、なるべく長い期間続けた方がパフォーマンスを出しやすくなるのは前稿でも述べた通りですが、長くやったからと言って、パフォーマンスをお約束できるものでもありませんし、そもそも「『長く』とは具体的に何年なのか?」という問いに対して、明確な答えを提供することもできません。10年が目安になろうかと思いますが、しょせん目安にすぎません。
筆者の場合、積立投資を始めた時にはゴールを定めていませんでしたが、46歳の時に、積立投資の元本+パフォーマンスの合計と、個人年金保険の残りの(46歳から払い込み完了の60歳まで)保険料の合計をそれぞれ計算しました。その結果、46歳の時をもって、積み立て投資のゴールとしたのです。
では、筆者が46歳の時に、もしリーマン・ショックや今般のようなコロナショックがあったとしたら……。その場合は、積立投資を続けます。前稿にも書きましたが、株価が低迷していれば、積立投資では「損益分岐点を下げる」効果を得ることができますし、そもそも老後である60歳や65歳まで、まだ時間がありますから……。これこそが、オールレンジ投資が「若い方だけの特権」だという理由です。
以上をまとめると、オールレンジ投資の目的は「積立投資によって、個人年金保険の保険料の払い込みゴールを手前に寄せ、早くに老後資金の準備を済ませる」ことであり、もし積立投資のパフォーマンスが十分でなかったとしても、時間をかける(積立投資の損益分岐点を下げる)ことで、その時を待つことができるのです。
これこそが「認めたくない、若さゆえの特権」なのです。
老後までの長い時間、もし積立投資がつらくなってしまったら
そもそも積立投資は、期間が定まっていないですから、その目的は「老後資金」に限らなくても良いのです。例えば、お子様の進学資金に充てても、家族旅行に充てても良いわけです。
また、積立投資の「積み立て」を止め、ファンドのまま取っておくことも可能です。ファンドのまま取っておくということは、「積み立ては止まっても、運用は続く」ということになります。
積立投資の額を減らすことも、もちろんできますが、金融機関ごとに下限が決まっているハズですから、積立額を下限よりも減らすことはできないですね。
あるいは、積立投資の元本+パフォーマンスの合計が少額だったとしても、元本割れでなければ、そこで少ないながらも利益を確定し、個人年金保険の保険料の前納に充ててしまっても良いわけです。そして、積立投資はそのまま続けることができます。積立投資は、個人年金保険などの生命保険とは異なり、年齢や性別などは一切考慮されませんから、いつ始めても、いつやめてもOKです……が、若い方が有利なのは、「時間がある」からです。
ファンドを解約したり、積み立てをやめたり、早くに利益を確定したり……。あまりおすすめはできませんが、積立投資って、意外とフレキシブルに使えそうですよね?
一方で、個人年金保険は途中で解約してしまうと、概して不利なことが多いようです。また積立額、すなわち保険料を減らすことはできても、やはり下限があります。減らした金額分だけ「一部解約」していることになりますから、この一部解約分は、元本割れになることが多いです。
また、保険に特有の「払済保険への変更」という方法もあります。保険金の額(年金額)は減ってしまいますが、保険料の払い込みが不要になるという制度です。しかし、「払済保険への変更」にも、やはり下限がありますし、何といっても「個人年金保険料控除」の対象になっている個人年金保険は、契約後、10年間は払済保険に変更することができません。
個人年金保険は、「将来のことが分かっている、決まっている」という安心感を得る代わりに、柔軟性に欠けるという印象ですよね。
まとめに代えて
積立投資と個人年金保険の両方を併走するわけですから、毎月、それなりの額がコンスタントに家計から流出することになります。
筆者はフリーランスですから収入は不安定なのに、家賃や光熱費、社会保険料に民間保険の保険料などの家計の固定費に加え、フリーランスとして活動するためのランニングコストもあります。
なので、積み立て投資と個人年金保険の併走は、結構キツイものがありましたが、収入が不安定な分、逆に「個人年金保険の保険料の支払いをさっさと終わらせ、老後のための確かなものを持ちたかった」という気持ちは、ずっと持ち続けていました。 筆者も今では、個人年金保険の保険料を払い込み終え、一つの老後資産を作り上げましたので、よりハイリスクな積み立て投資と、もう一本、積立型の保険を始めました。
次回は、「見せてもらおうか!積立投資の実力とやらを~その4 積み立て投資への誤解」というタイトルでお話しさせていただきます。