(藤井 雄作:群馬大学 大学院理工学府 教授)
政府や自治体が、自粛再開・解除の判断基準の1つとしている「直近1週間の10万人当たりの新規感染者が0.5人未満程度」には致命的な問題点があります。
それは、PCR検査を増やそうとしている中で、『新規感染者数』を判断基準にするのはきわめて非合理的である、ということです。
まず、実際の感染者数は、確認されている数よりもはるかに多いことは、ほぼ確実です。政府の専門家会議の尾身茂副座長が参院予算委員会(5月11日)において、確認された感染者数に比べ、実際の感染者数がどれだけ多いかについて、「実は10倍か、15倍か、20倍かというのは、今の段階では誰にも分からない」と述べたことが報道されています。政府自身が認めていることを意味します。
その状況において、政府は、PCR検査の拡充を図っていくとしています。厚生労働省も、「誰もがこの新型コロナウイルスを保有している可能性があることを考慮し、必要なPCR検査を実施していくためには、今後のPCR検査の需要拡大に対応できる検査体制を確保することが必要です」と明言しています。