企業の存続を危うくする“不正受給”は厳に慎むべし

 最近の事例をひとつ紹介しよう。2020年2月5日、大阪労働局は大阪市中央区に所在する建設業を営む企業について、約300万円の「雇用調整助成金」を“不正受給”したとして、企業名・代表者名などの企業情報の公表に踏み切った。手口は、出勤簿と賃金台帳を偽造して虚偽申請をおこない、本来受給することのできない「雇用調整助成金」を不正に受給した、というものである。

 “不正受給”の代償は極めて大きい。悪質性が高いと判断されれば上記のように企業情報がすべて報道機関に公表される。さらに、その後長期間にわたり、行政機関のホームページ上で不正の事実が公開され続ける。当然、社会的信用が大きく失墜する結果となり、事業の存続にもかかわる事態に陥ることは少なくない。

 企業経営の現場では、「書類をこのように書き換えてしまえば、助成金をもらえるのではないか」との思いにとらわれてしまうことがある。しかしながら、雇用保険の制度から支払われる助成金は、各企業が負担した雇用保険の保険料を財源としており、無尽蔵に資金があるわけではない。したがって、要件に該当した企業に適正に支給されることが、何よりも重要となる。

 新型コロナウイルス感染症のまん延という社会問題は、行政機関・民間事業者・消費者などすべての国民が一致団結し、なんとか切り抜けていかなければならない“大きな国難”といえる。企業経営上、極めて厳しい経済情勢下にあることは重々承知をしているが、それでも「不正な手法を用いてでも得をしたい」という考えだけは厳に控えたい。

参考資料:厚生労働省「雇用調整助成金ガイドブック」(2020年3月1日現在)※PDF

大須賀信敬
コンサルティングハウス プライオ 代表
組織人事コンサルタント・中小企業診断士・特定社会保険労務士
https://www.ch-plyo.net

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HRプロ編集部

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