初めにまず上のグラフをご覧ください。

 OCED(経済開発協力機構)が3年ごとに行っている学力調査、PISAの数学のスコアと各国のGDPの間には強い相関があることを示す分析結果です。

 注目すべきは、フィリピン、タイ、インドネシア、マレーシアといったASEAN(東南アジア諸国連合)加盟各国の成長ラインと、台湾、香港、マカオといった東アジアの経済急成長圏の交点に 「日本」と「韓国」が兄弟のように位置している点です。

 そして、これが「コロナ恐慌」と「ポスト・コロナ」で入れ替わる可能性が現実化しつつあります。

 韓国に名実ともに日本が抜き去られるカギは「ICT(情報通信技術)」とその社会定着、なかんずく人材への定着にあると考えられています。

 懸念される日本のリスクについて、考えてみましょう。

国内事情だけで教育を考える日本

 新型コロナウイルス・パンデミックに伴う日本の教育「停止」は、場合によると不可逆な壊滅状況をもたらす可能性が、国際的に真剣に議論されています。

 先週土曜の23日「東洋経済」に発表されたOECD・Pisaの専門委員、北川達夫・星槎大学客員教授の論考(https://toyokeizai.net/articles/-/351563)を引用しておきましょう。

 実は、この北川分析の3ページ目に登場するグラフを、表裏をひっくり返して、縦横を逆にしたものが、本稿の冒頭に示したもので、いずれも東京大学グローバルAI倫理コンソーシアム ポストCOVID解析グループが計算したものです。

 東洋経済のグラフと本稿のグラフは、検討の方向が逆を向いています。