世界が新型コロナ禍の最中、ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)の価格が回復傾向にあるという。
その背景はコロナ禍の影響で世界経済が不安定化するなか、「資産の安全な逃避先として非ソブリン系の資産である金やビットコインの需要が高まっている」ことにあるらしい。ただし、筆者はその分野の専門家ではないので、その真偽は分からない。
ロシアでは日本でも報道されているように日々1万人近くの新規感染者が発生している。
総感染者数は5月17日現在で28万1752人と米国に次ぐ世界第2位、ヨーロッパではスペイン、イタリア上回る最多の感染者数となっている。
ではロシアでは暗号資産に対する需要が急速に高まっているのかというと、全く逆の出来事が起きた。
それはロシアのメッセンジャーアプリ「テレグラム」が開発していた独自のブロックチェーン「TON(Telegram Open Network)」の開発中止とTON上で流通する暗号通貨「Gram(グラム)」を放棄することが発表されたのである。
TONは2018年4月までに17億ドル(約1800億円)という史上最大のICO(イニシャル・コイン・オファリング=資金調達)を成功させたブロックチェーンのプラットホームである。
この投資のリターンとして投資家には暗号通貨グラムが分配される計画であった。投資家の注目を集めてもおかしくないこのタイミングで何が起きたのであろうか?
TONは2017年に世界中の日々の決済のための高速、効率的かつ安全なプラットフォームと手段を提供するものとして、テレグラムのファウンダーであるパーベル・ドゥロフ氏によってプロジェクトが開始された。
ドゥロフ氏は現在35歳、ロシア版ザッカーバーグ(マイケル・=米フェイスブックの設立者)とも称されるロシアのインターネット起業家である。