失われる曜日感覚

 リセットのためにもっとも大切なのは、「朝に日の光を浴びること」です。

 眼の網膜から自然に入力された光の情報には、全身の体内時計をリセットする働きがあることが分かっています。

 これは晴れの日でなければ効果がないわけではありません。

 曇りでも、雨でも、体内時計をリセットするだけの光量は保たれています。

ですので、朝起きたら、できるだけ早めにカーテンを開け、外界の光を浴びる。可能であれば、外に出てちょっと散歩をする。

 それが24時間サイクルを保つための、もっとも大事なポイントです。

by 近藤慎太郎

 また、毎日の食事をできるだけ同じ時間に取るなど、1日のイベントをできるだけ固定することも大切です。

 今までの生活であれば、それもなかなか難しかったかもしれません。

 たとえば、突発的な仕事が入ることで、食事の時間や帰宅時間、就寝時間がずれたりすることもあります。

 その結果、平日は多少睡眠時間が短くても、土日に多めに眠って疲労を解消する、という人も多かったのではないでしょうか。

 しかし、現在はどうでしょう?

 もちろん個人差がありますが、リモートワーク中心であれば、時間の融通はかなり利くはずです。

 習い事や子どもの学校もないので、曜日の感覚が無くなっていき、平日と土日の境界すら薄れてきてはいないでしょうか?

 仕事と休息が1日のうちに混在し、「毎日が土曜日」という感覚の人もいると思います。

 特にフリーランスの場合は、いつでも仕事ができるので、明確な休日を設定することが難しくなってしまいます。

 しかしこの状況にも実はメリットがあります。自分の生活リズムの真の姿が見極めやすくなっているのです。

「平日は睡眠時間が短くて、土日に多めに眠る」のであれば、平日も土日も、自分にとって、もっとも適した生活リズムでは暮らしていない、ということになります。

 しかし、毎日を同じようなリズムで過ごしていれば、自分は何時間眠ればコンディションがもっとも良く、体内時計を無理なく合わせられるのか、といったことを判断するのに役立ちます。

 こんな経験は、人生でもう2度とないかもしれません。ぜひ、自分の体のリズムに、耳を澄ませるようにしてみてください。

 次回はリモートワークが睡眠にもたらす、もう一つの悪影響について解説します。