料理宅配サービス「デリバルー」(写真:ロイター/アフロ)

 英競争・市場庁(CMA)は4月17日、米アマゾン・ドット・コムによる英料理宅配サービス「デリバルー」に対する出資を暫定的に承認すると明らかにした

 新型コロナウイルス感染拡大の対策としてロックダウン(都市封鎖)が敷かれている英国の今の状況で、アマゾンによる追加出資が行われなくなると、デリバルーの事業運営が成り立たなくなる。結果として、健全な市場競争を阻害することになるという。

「アマゾンの出資は深刻な懸念をもたらす」

 アマゾンはかつて、レストラン料理の宅配サービス「アマゾン・レストラン」を展開していた。しかし、市場競争が激化したことを理由に、2018年に英国事業を閉鎖。その翌年には、米国でも事業閉鎖し、市場から撤退した。

 そして2019年5月、デリバルーが実施した計5億7500万ドル(約620億円)の資金調達をアマゾンが主導した。

 CMAは、これが「深刻な懸念をもたらす」との見解を表明。アマゾンがいまだ英国の料理宅配市場に再参入しない最大の理由は、この取引にあると指摘。同市場に健全な競争がもたらされないとして、正式な調査に乗り出すと明らかにした。

新型コロナ対策のロックダウンで廃業の危機

 ところが今年に入って状況は一変した。新型コロナウイルスの感染拡大である。その対策として英国ではロックダウン(都市封鎖)措置が講じられ、デリバルーの提携先である主要なレストランは、多くが店を一時閉鎖した。これにより、同社は経営難に直面したという。